猫と暮らしと

4匹の猫とのんびり暮らし

最後の年賀状

いつも年賀状の担当はしろさんで、一言添える事も恥ずかしく何も書かずに送るような私でしたが、今年は何となく自分でへたくそながら書いてみる事にしました。
家に居なかった頃に届いていた分には目を通していなかったので、読み返したりしていました。

平成18年(2006年)
鹿児島に88年ぶりに大雪が降ったと書かれています。
鉢植えの水仙やめじろの姿ももうすぐだろうから、カメラのレンズを磨いて待っていると。
九州限定の犬の絵が入った年賀状には、その印字を見ればすぐに誰かはわかります。
インクジェットプリンタではなく、大昔の型のワープロでギーカシャカシャッとテープリボンのカートリッジが動いていくもの。
そのカートリッジの購入さえ、注文し取り寄せないと店には無いと聞いていました。

カメラのレンズなんて磨いているわけはありません。
父は、年が明けた2月に亡くなりました。

枕元にあった大瓶の胃薬を何瓶も大量に飲みながら痛みをごまかし、この年賀状を作っていたんだな。
年賀状なんて作ってないで医者に行ってれば、もしかしたら・・。
どっちにしても手遅れだったかな。

父が使っていたキティちゃんの座布団を一緒に棺に入れればよかったかな。
あの座布団は、私が小学校の時に家庭科で初めて作ったもの(らしい)。
妹が未だにキティちゃん好きなので、おそらく妹にあげたものじゃなかったかと思います。なぜ父が持っていたのかはわからないのだけれど。

父の部屋にあったものは全部処分してしまいました。
妹とふたりで慌ただしく手続きやらに奔走していたから、そんなことを考える暇もありませんでした。

しろさんはまだ父が元気だった頃、ひとり鹿児島へ遊びに行き父とお酒を飲みました。
男親なら一度は思うだろう「息子と酒を」との夢を、しろさんが叶えました。
しろさんのお父さんはその10年前に亡くなったから、しろさんの夢でもあったのかもしれません。
私は何か叶えてあげる事が出来たのだろうか。
そんなことを考えながら過ごした数日間でした。